怖いモノ

長らく、息子には怖いモノがなかった。
暗闇でも、独りで駆け回るし、お化けだぞぉと脅しても「はぁ?」
とシラけた様子だった。

最近できたんです。怖いモノ。


先日、中秋の名月だった日おじいちゃんが、畑で採れた食べられない
すいかで提灯を作ってくれた。
昔はよく作ってくれていたのだが、中をくりぬき皮に目と口の切り込み
を入れ、最後にろうそくを入れた簡単なモノだ。

その日まで、息子はすいかが大好きだった。
…のだが、大好きなすいかに目と口ができ、それが妖しげな光を放って
いるのを目の当たりにすると、「いぃやぁ〜」と逃げ回るではないか♪


これを使わない手はないと、それをしばらくテレビの前に鎮座させた。

効果は絶大!!
それまで注意してもテレビにかじりついていた息子が、それ以来
離れた所からテレビを見るうようになったのだ。

しかし、すいかは悲しいかな生モノで…
今にも小バエが湧いてしまいそうになり…それでもタダで捨てるのは
もったいないと、台所の勝手口の外に置いておいた。

すると、夕方はいつも台所に入り浸る息子が「すいかおるよ♪」の一言
で「ひぃ〜」と帰っていくではないか。

すいか様サマだ。
確かに、腐りかけてだんだんと崩れていくすいかは大人がみても薄気味悪く、
あまりにもひどい形相なので、ついにお払い箱になった。
が、それ以来「すいか」の言葉が息子には怖いようで、何かにつけ
使わせてもらっているが、すいかを怖がるのもいかがなものか…


少々反省しております。